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2012年 02月 01日
最近、丸高出産のベビーブームですね。芸能界なども出産ブームのようで。
そんな中、”できちゃった婚”などとネットで書かれている丸高芸能人がいらっしゃいますが、 いや、10代や20代ならまだしも、丸高で”あ、できちゃった。急いで結婚しなきゃ”は、ないでっしゃろ。そら皆さん、計画してはりまっせ。そんな簡単なもんやないでしかしと、PCの前で独り言をもらしている、丸高出産歌手ムチムチです。みなさま、お元気でいらっしゃいますか? そうそう。うちのベビーも元気に生後2ヶ月目をむかえることができました! いや~、しかし、第一子は大変だ! 何が大変って、はじめての子でしょ?分からない事だらけで。。。 ちょっと、鼻がぐずぐずしては、風邪か!? 乳児湿疹がちょびっと出ては、アレルギー体質!? おでこがちょっと熱ければ、病気か!? ちょっと”う*ち”がいつもより柔らかければ、悪いウイルスに感染したか!? 着せ過ぎ?薄着過ぎ? ああ〜〜! もう、毎日、心配のオンパレードでっせ。 ![]() しかし、そんな親の心配をよそに、ケロッとしている元気な息子です。 ************************************************************************************ さて。ドイツでの出産。。。と言っても日本での出産経験がないので、違いをお話することはきないのですが。。。 まあ、それに関わる人達のメンタリティーは違いますわな。 ということで、ドイツでの出産。 私たちが決めた産院には、出産準備コースがあり、コースを担当する助産婦さんが受講者の出産に立ち合うシステムになっていました。 そして私達には、オペラ観劇が趣味♡の、アルバという助産婦さんが担当してくれることになりました。かなり経験豊富なベテラン助産婦さんという噂。心強いではありませんか。 このアルバちゃんという助産婦さんの人柄が良かったおかげで、準備コースを一緒に受けた妊婦さんグループは仲良しになり、今もメール交換をしたり街で会ったりしています。 ちなみに、ドイツは妊娠中の経過を診てくださる先生と、お産担当の先生は違う事が多いんですよ。 お産担当の先生とは、お産フィナーレで、はじめましてこんにちはになることが多い。私の場合は、出産前にお産担当の先生にお会いし、ご挨拶する事が出来ましたが。。。それでも、日本のように妊娠中から出産まで同じ先生が一貫して診てくださると心強いですよね。 さて。 陣痛が始まったら、アルバちゃんに電話して状況を説明する。 そして、陣痛が3分おきになってきたら再び彼女に電話して産院へ。これは準備コースで教わったことでした。破水した場合や、外出中に陣痛が始まった場合などは別ですが、私はこのケースでした。 言われた通り、陣痛が3〜5分おきになったところで、 ”ほんなら、今からお互いにクリニークに向かいまひょか。” ということになり、ワクワクどきどき痛いイタイで、深夜の産院にレッツゴー♪ いや〜しかし、陣痛フィナーレのまあ痛かったこと!世の中のお母さん方は皆こんな痛みを味わっていたんですね。今まで味わった事の無かった痛みでしたよ。 私があまりにも痛がるので、アルバちゃんが ”無痛分娩に変えよか。その方があんさんもリラックスできるし赤ちゃんにもええわ。” 妊娠中は、赤ちゃんにも少なからず影響するであろう無痛分娩にかなりの抵抗があったのですが、 下腹の力を抜く事ができない私のせいで難産になりかけていたために(。。。ていうか、あまりの痛さに) → 即オーケー。(今時の若いもんは、がまんっちゅうもんが足りんのう→はい、すんまへん。) そう、ここ。ここからが、今日のブログの本題です。 アルバちゃんの電話で起こされた麻酔師のおばさまが、 ♪呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん♪(←いや、ちょっとハクション大魔王に似た感じの人だったもんで。。。)どうも、つい今しがたまで、寝てたな、おばさま?という具合に、ベタに目をこすりながら、フラフラと登場。 しかも、急いで着ました感のある斜めにずれた白衣が、起きたて感をいっそう引き立てています。 そんなスリーピーなおばさまが、私の腰に(めちゃ痛い)注射を差し込みました。 。。。数分たって。。。 おばさま→ ”効いて来たか?” ムチムチ→ ”いいえ。。。全然ですけど。。。イタッ、イタタッ。。。” おばさま→ ”効いてへんの?。。。。。。おかしいな(違うとこに刺したかな←小声で) 。。。。。。。いや、あんたっ!そう!あんたが、私が言う通りにまっすぐに座らへんかったからあかんねん!” (ムチムチ)(え。。。。。。?痛すぎて、正しく座ったかどうかよーわからんのですけど。。。) そこで、うちの相方とアルバちゃんが声をそろえて→ ”ムチムチはちゃんと言う通りに座ってたやん!”と。 ”いいや、この子がちゃんとまっすぐに座らへんかったからアカンのや!” 。。。おばさま、ドイツ人です。もち、引き下がりません。 ”陣痛で苦しんでる子にそれはないでしょ!”←アルバちゃん ムチムチ→ (もーええから、はよ、なんとかしてくれ。。。) ”まだ痛いか?”(おばちゃん) ”はい。。。めちゃ痛いです。。。ううっ。。。”(ムチムチ) (おかしーなー。。。。。わし、ちゃんと打ったで。。。)と言わんばかりにおばさま、点滴の強度上げました。 お、お、おばさま?。。。。。。。いや、もう、おばちゃん。。。いえ、→おばはんと呼ばせてもらうわ。(→ばばあ→くそばばあ。。。(おっと。。。育ちがいいので”おばはん”止まりにしておきます)) おばはん! 局部に全然きいてへんがな。。。。。。 あ、 あ、 足に効いとるがな! おばはんが麻酔の強度あげたもんで、もう、足、ふらんふらんどすー。 アルバちゃんが、”もういい!打ち直しもやめよな、ムチムチ!一緒に痛みと戦おう!” て、あんた。。。。。。ほんなら、無痛分娩に切り替えん方が良かったやんか。。。 もし、タイムマシーンがあったなら。。。。。。 もう一度、おばはんのところに行って、彼女の携帯の電源を切ってあげたのに。 来んほうがよかったわ。。。麻酔師のおばはん。。。 ******************************* ということで、ベテランあるばちゃんと良い先生に当たったおかげで、痛みを乗り越え、無事元気な男児出産 生まれたての我が子を胸に男前なアスリートのような顔をした私と、その横で感動に号泣しいている相方。。。。。。そして、その時にはすでに、麻酔師のおばはんのことはすっかり頭から消えていたのですが。。。 数日後。 立ち合っていた相方がこんなことを言いました。 ”ムチムチ。後できいたんやけどな。。。あのおばはん、今回がどうも初めての失敗ちゃうかったみたいやで。(←マジ?)しかし、自分の失敗を、陣痛で苦しんでいるムチムチのせいにするとは。。。強者やな。。。” 自分のせいは人のせい。失敗は二度と繰り返しませんの意味がわかりませんの国、ドイツで生まれ育った相方でさえびっくり! 。。。。。。の麻酔師のおばちゃんでしたー。 まあ、出産には痛みはつきもの。痛みとともにひねり出した我が子はほんとうにかわいいです。 それにー。。。。。。美男美女から生まれた子でしょ~♡♡♡? 相方曰く、”ベビーユニバース世界大会グランプリ” ほんとうに美しい子でs。。。イタっ!誰?今うしろから私たちを飛び蹴りしてきたのっ!? ということで。 イクメン大国ドイツ、助産婦さんが産後のお世話をしに家まで来てくれた話や、産院での、”あちらこちらでセンチメンタル/ベイビーブルース”。。。などなど、いーーーーーっぱいお話したいことが積っているのですが。。。いつお話できることやら。。。 。。。あ、私たちのプリンスが、世界一かわいらしい♡声で(←イタっ。。。だ、誰!?蹴って来たの!?)泣いていますわ。 われわれは王子の僕どす。ラジャー!今すぐにあなたのもとへ行きますよってに〜! ちゅうことで。 ほな、また! 2011年 12月 29日
みなさま、お元気でいらっしゃいますか?
ちょっと時間ができたのでブログを再開してみたのですが、 実は、 ![]() (Catriona Smith,Yuko Kakuta(角田祐子)) こんなお腹になり。。。 ![]() (Yuko Kakuta(角田祐子))(雑誌 Lift/Stuttgart kauft ein 創刊号に掲載中 !) かわいいBlutsgeschwisterのベビーボディーを用意したりして。。。 そして。。。 ![]() 愛おしい人が一人増えました〜! 不器用なのでまた時間のやりくりが上手にできず、 再び、ブログがますます忘れ去られて、草ぼうぼうなってしまうような。。。。。。(ああ、昔は華やかに栄えとったのにのう。。。遠い目。。。) プニマというオペラに参加した事、シュトウットガルトバレエとの共同制作オペラ”オルフェオとエウリディーチェ”のアモーレ役で、イケメンのバレエダンサー数人にマドンナのようにかかえられるという、ウハウハ体験。。。などなど。。。お話したいことが山積みになっているのですが。。。。。。 まず今は、この小さな、大切な人のために全力投球しま〜す! いやー。。。。。ドイツでの出産。 ”なんでやねん!”と突っ込むところ満載でした。 そして、”なるほどー!”とうなってしまうこともありました。 ま、これについても、また忘れないうちに、皆さんにお伝えしたいな〜と思いますが。 しかし。出産の痛み。 だいたいどのくらいの痛みになるだろうか。。。と一生懸命想像してみてはいましたが、それを遥かに超えていました。 世の中のお母様方は、みんなこんな思いをしてお子さんを生んでいらしたんですね! そして今は、私を生み、大切に育ててくれた親に感謝せずにはいられない日々を送っています。 ということで。 みなさん、くれぐれもお風邪など召されませんよう、元気に、良いお年をお迎えくださいね。 できれば、近いうちにまたブログでお会いできればと思っていますが、近いうちが遠〜くなる可能性も大でして では! みなさまにとって2012年が幸せに満ちたすばらしい年になりますように! Guten Rutsch ins neue Jahr ! ムチムチ18 2011年 11月 14日
かわいらしい、この子達。
![]() 大人のパーティーに飽きちゃって、アパートの階段にクッション持ち出して、 パパからもらったIpodに釘付け。 話しかけても、”今、いいところなんだから(怒)!!”って相手もしてくれない。 さて、この子達、いったい何を観ているんでしょうか? 正解は。。。。。。 メトロポリタンオペラのワーグナー”ジークフリート”です。 パパが”帰るぞ。”って言っても、”後、もうちょっと、お願い!”って。 相方(ワグネリアン)が、ちょっとつつくと、興奮して返答していました。 ”ミーメは今、*@|^¥ してるんだよ!!だからジークフリートが :@[:¥^ するんだ!おっちゃん!それで、それで。。。。。” 私は白目でしたが。 この子達、暇さえあればワーグナーのビデオを観ているそうな。。。彼らにとっては、ディズニー映画より面白いらしい。 ひえ〜。。。 でも、かわいいーーーーーーーーー! 2011年 11月 09日
![]() ちょっと奥さん、聞きました? ドイツの歌劇場専属の合唱団員やオーケストラ団員さんたちというのは、 われわれソリストと違って、終身雇用の上に、いろんな形で守られ”まくって”います。 専属ソリストは、2、3年毎の契約更新で、延長されるかどうかは、その人のがんばりによるわけでございます。 終身雇用ではありません。 同じ劇場、または、同じ州にある劇場に14年勤め続けた場合、終身雇用になるようですが、 最近では、契約延長をがんばってきたのに、13年目に契約を切られたりする人も多く。。。かなりキビシイポストであります。 そのかわり、基本給をいただいている上に、時間が許すなら、他の劇場へのゲスト出演や、コンサートの仕事を受けたり等、他で大きな収入を得る事が許されている。。。という利点はあります。 ま、私のようにがんばらない歌手は、そこそこのお給料で生活しているわけでございますが、 頑張る人、または才能のある人達は、合唱団やオーケストラ団員さん達より高収入を得るチャンスはあります。 さて。 オーケストラ団員が妊娠した場合、Laermschutzといって、大音量のオーケストラピットに座ると、胎児に騒音のストレスを与える。。。ちゅうことで、早くから産休に入ることが新しい法律で義務づけられたんだそうです。 まあ、これは分かります。ワーグナーオペラ等をオーケストラピット内で聴く事は、胎児には負担になるでしょう。となりで打楽器や、ブラス楽器が、ババーン!と大音量を鳴らしたら、そら、赤ちゃんもびっくりしますわな。 そんな法律がなかった昔は、出産直前までオケで弾いていたという人もいて、お腹の赤ちゃんがあばれまくって大変だったという話はよく聞きます。 が。 奥さん、合唱団員の方達までですってよっ!産休が早くなったの。 もちろん、舞台で動く危険ということはありますが、胎児への騒音ストレスを防ぐために、新たに、妊娠4ヶ月の段階で、産休に入る事が義務づけられたっちゅうんですわ。 しかも、 保険会社のサポート+オペラハウスからの産休手当=フルに働いているときと変わらないお給料 をもらいながら、約半年間もお休みっちゅうんでっせ。 その上ですねえ、彼らは、産後のお休みも結構とれるんですねー。 産休の間は、代理の団員が雇われ、育児休暇も結構好きなだけとれて、そして、いつでも帰ってくる事ができる。知人は、2人の子供を産み、5年くらい帰ってきませんでしたー。。。。。 そんなに休んでも、彼女の席がなくなることはないんです。 われわれソリストはどうだって? ええ、出産予定日6週間前から義務づけられた産休が始まりますが、その直前までみんな舞台で歌ってます。 だいたいは、出産後8週からみんな、また仕事に舞い戻ってきます。 バレエダンサーなどもそうですね。 なぜなら、お腹の赤ちゃんとともに舞台で歌いたい、それに8ヶ月くらいまで問題なく歌えるということもありますが、それ以上休むと、競争社会でっさかいに、自分のポストがあやうくなる可能性もあるわけですねえ。足のひっぱりあい、け落とし合い。。。なんとも恐ろしい世界でございますから?。。。 ゆっくりと産休育児休暇など取っている場合ではないっちゅうわけどすな。 ということで。同僚の合唱団員さんが、 ”昨日稽古にいったらさー、妊娠4ヶ月目に入ったから、帰れっていわれたのよ!わたし、まだまだ歌えるわよ!新しい法律なんて知らなかったからびっくり!”と、興奮気味に話していました。ええ、まだまだ歌えるでしょうね。。。 いやー。。。。。。。妊娠4ヶ月目から産休とは。。。 こんなこと、まず日本では考えられませんよね? 芸術家がここまで守られているなんて。。ねえ。。。 ソリストの産休が合唱団員より短いとはいえ、産休をもらえて、お給料もそのままもらえること自体、あり得ません。 あー、ありがたやー、ありがたや~。ビバ!ドイチュラント。 さすが、文化の国! ほんでも、出産まで半年もお休みだなんて。。。。。。。すごいわー。。。。。 ねえ、奥さん! 2011年 11月 03日
みなさまとブログでお会いしていなかった間に。。。(←また!)、
ワーグナーのパルジファルに、クナッペと花の乙女の2役で出演させていただきました。 ![]() (↑シュトウットガルト/パルジファルのポスター) 私のような軽いソプラノがワーグナーオペラに乗せていただけるチャンスは、この2役か、ジークフリートの森の小鳥役くらいでしょうか。 ワーグナーオペラを堪能させていただけた、すばらしい機会でした。 このパルジファル。 妥協を許さない音楽監督/ホーネック氏の配役で、花の乙女役などは、バイロイト音楽祭で何年もその役を歌っている歌手達がゲストで歌いにくるほどの力の入れようでした。 この花の乙女(6人のソリストアンサンブル)役は、私たち専属歌手からの配役(3人)以外は、 1年間もかけて、ものすごい数の歌手のオーディションをしていたそうです。 スタタン(スター誕生)、いや、花タン? そして、制作発表から、ドキュメント映画監督の Vadim Jendreykoとそのクルーのカメラが密着していました。 ”Die singende Stadt”という、ドキュメント映画を平行して撮るためです。 シュトウットガルト州立歌劇場での、この新プロダクションの舞台裏を映画化するためでした。 (↓トレーラー) すでに映画も完成され、ドイツ全土の映画館での放映もすでに終わっちゃったんですけど。。。 マイナーなジャンルの映画だから、映画館にお客さんが入るのかな?と思っていたのですが、ベルリンからミュンヘンまで、放映されたどの映画館も結構、満席だったそうです。 というのも、この映画監督、前回の作品 ”Die Frau mit den 5 Elefanten”で、いろんな映画祭において、”ドキュメント映画部門グランプリ”などを受賞した、その直後だったからでしょう。 説明は入れず、関係者達の言葉と、パルジファルの音楽でセンス良くつながれた作品に仕上がっています。 カリスト ビエイトと衣装デザイナーの出す無理難題に頭を抱えながら応えて行く舞台裏スタッフ、過激な衣装に”反対!”を訴える女性合唱団員達。。。そして、キャラクターの濃い主役級ソリスト。。。等の場面を、ユーモラスにうまくつなぎ合わせていて、面白い作品に仕上がっています。 私ムチムチも、ちょっとの”ち”くらい出ています。ムチムチを見つけたい方は、瞬きは禁物です。。。1時間半の映画の中の数秒ですから〜。 先日、すでにDVD化もされ(今日のブログ、いつの話題やいったい。。。)、 後は、Arte(ドイツ/フランス共同製作番組)や,3satでのテレビ放送があるみたいです。 ![]() カリスト ビエイトというヤンチャ坊主演出家と、マンフレッド ホーネックという優等生タイプの指揮者の共演ということで、オペラファンの方々(や、内部のもの)からしたら、舞台裏は面白くないわけがない!2人がドンパチ ************************************** さて。 この演出。 オペラ/パルジファルを、映画”ザ ロード”の世界に置き換えています。 地球の終わり。誰もが救世主の出現を待ち望んでいるという演出になっているのです。。。 地球上は、すでに植物も生えない状態になっており、水も空気も汚染され、生き残った人達は、ガスマスクをして体中がすでに病んでしまっているという状態から始まります。 私は、稽古中は、花の乙女以外の場面では、クナッペ役=小性、少年役として舞台を作っていました。 ![]() ↑グルネマンツの後ろにいるジャンパー姿。この通し稽古の段階では”まだ”少年の姿だったんです。。。 が!! カリストさん。。。なんと、ゲネラル プローベの前夜、頭の中に何やら浮かんで来た、なんかしらんの神が降りて来たとかで、ゲネプロ10分前に、衣装部から、袈裟の衣装を持って来て、 ”これを着るのだ。そして序曲の前 = そう、今から、舞台に出ろ。お前は仏教徒なのだ!” と、私にいうじゃああーりませんか! え? 今、なんておっしゃいました? マジ? ゲネプロは、お客さんが入ります。しかも完売。。。というか、もうお客さん入ってるし。。。。。 い、い、いややっ!なにっ!なんで、そんな勝手なっ!今までの稽古は何やったん!? こらっ!いややあーーーーーーー!!!と叫んだのですが、 カリストに絶対命令を出された衣装部に包囲され、衣装のジャンパーを脱がされ、ズボンとT-シャツの上から袈裟を無理やり着せられ。。。 ”とにかく、急いで!”と、演出アシスタントは、暴れる私の首をつかんで、序曲の始まる前から、私を舞台に放り出しました。 な。ん。つ。う。こ。と。。。。。。。。(涙) でも、引き返すわけにはいかん。 だって、お客さんの視線が”あ!何かでてきた!”と、私に一斉に向いたから。。。。。。。 こういうとき、女というのは、肝が据わっているものですね。自分でいうのもなんですけど。 落ち着いて。。。どうしたらええんや。。。。。 。。。うーん、うーん、ふんがーっ。。。。。 はい。こんなん出ましたー。 ぼくは、クナッペ。ここにたどり着く途中、袈裟を着た死体に遭遇した。とにかく、自分の命もいつまで持つか分からない。なんでも良い。なんの神でもいいからすがりたい。袈裟を死体からはぎ取って着てみた。。。 仏教がなになのかは、クナッペには分からない。でもテレビや雑誌で見た事があるその仕草を一生懸命まねてみよう。救われるかもしれない。。。。。 オーケー、オーケー。。。と何となく動いていると、カリストが客席の演出机からマイクで、 ”あ”ー、あ”ー、あ”あ”あ〜〜〜〜〜 と苦しそうに言え!”と命令。 こ、こ、この人っ!。。。。。。あとで絶対にパチンいわしたるうー。。。。。。。絶対にっ!うおーーーーーっ! 心の中で激しく雄叫びを上げた後、”あ”〜、あ”〜〜〜〜〜” 言うておりましたら。。。 そんなこと知らない + 気がついていない、劇場支配人が、舞台袖にスマートに登場。 マイクで、涼しげに、 ”ゲネプロにお越しのお客様。ようこそ。今からゲネプロがはじまります。”と、舞台で起っていることと全く違う空気が漂い。。。 どうするの、この空気。。。?と思っていたら、その背後から、演出に没頭してしまっているカリストが、 ”ゆうこ!もっと、もっと、苦しそうに!あ”ー、あ”ー言え! あ”〜、あ”〜〜、あ”あ”あ〜〜〜〜〜”。 あ”あ”あーーーーーーーて。。。。。。。。。。。。 そうこうしていると、そんなこと、全く全然!!聞かされていない、ホーネック氏がオーケストラピットに登場。 序曲の前から舞台が始まっている状態としらず、客席向かって満面の笑みで。。。。。 ”わし、音楽監督の登場でっせ!今から、壮大なるドラマ、パルジファル振りまっせ!皆さん、わしの音楽、堪能してや。楽しんでや!”てな感じで、エレガントにお辞儀とかされており。。。 お客さんに満面の笑みを振りまいた後、オケと舞台の方向に向いた、ホーネック氏。 。。。目の前で、袈裟とガスマスクをした私が、あ”ー、あ”ー、言うていることに気がついて、 ”えっ!?どうしたらええんや、わし。。。。。。”みたいに、一瞬、ぼーっとされていました。 あなたの驚く気持ちは、痛いほど分かります。 私だって、わたしだって。。。。。こんなこと。。。と。。。涙目で訴え。。。。。。 どうしようもない2人の見つめ合いの後、 ”よ〜わからんけどとりあえず。。。” と言った感じに、前屈みに構えた後、すばらしい序曲をはじめたホーネック氏。。。。。。。 パルジファルの無からはじまるようなすばらしい音楽が始まりました。 でもそのワーグナーのすばらしい音楽に、今度は私にもなんか知らんの神が降臨してきたようで。。。。。。 私は、舞台の前に正座し、拝まずにはいられなくなりました。 どうか、どうか、地球をもとにもどしてください。。。。。我々人間はなんと愚かなのでしょうか。許してください。と、腹の底から何かが湧出て来る感じです。音楽に助けられました。 拝んでいると、知らずにパニックになっていたこともあり、涙が出てきました。ガスマスクをはぎ取り、死を目の前にした人間として、その日は、序曲の間中、拝み倒しました。 食べ物もろくに食べていないはずなのに、ムチムチ丸々とした身体で。。。。。。 (どうみても健康優良児体型歌手の”椿姫”のようです。) ![]() その後、序曲の間に、全裸の妊婦さんが現れ、クンドリが森をさまよい、放射能防護服のようなものを着た人も登場(←これは前から予定されていたようです。) ということで。 この日は、衣装が変わってしまったので、自分でもこの後どうつなげていいやら分からず、もうアドリブでいくしかありませんでした。 次々と舞台に登場する共演者達も、私の衣装に、”えっ!?なにそれっ!?”と、驚いていました。 稽古ではカリストに言われるまま、ズボン姿で走り回っていたのに、いきなり袈裟。。。動けん。。。 GPの後。。。神が降臨していたらしい?演出家さんは、我に返ったように、私に謝りに来ました。 お前だからできると思った。おまえじゃなかったら、こんなアイデアださなかった。分かってくれ!と。 どんなおべんちゃら使っても、今日は、許せません。今日のこの日は一生忘れまへんで!。。。。きーっ!と言ってその場を立ち去りました。。。。。 関係者達は、”お前だからカリストはそうさせたんだよ。あれはひどかった。でも許してやれよ。いいシーンだったよ!””他のキャストにだったら、やれなかっただろう。ゆうこ、お前は特別なんだよ。”と、うそ一杯、やさしさ一杯のメールをくれましたが。。。。。 私みたいな小さい役にもこんなドラマがあったのですから、主役級の方々にはいったいどんなドラマがあったのでしょうか。。。。。。 映画の中では、グルネマンツのシュテファン ミリングが、舞台上のスモークをやめろ。やめなければ降板するぞ!的に怒っている場面などがありましたが。。。 ![]() ということで。この演出。賛否両論あります。ワグネリアンには許せない演出だそうですが、熱狂的なファンもつき、毎公演、最後まで満員御礼で、沸きに沸いていました。 ![]() (↑カーテンコールに見えないかもしれませんが、カーテンコール) **************************************** さて。東日本大震災の直後から福島原発問題の不安が大きくなる中、この公演は、再び、再公演を向かえていました。 この舞台が、いきなり、現実のものとなる日が必ず来る。。。という気持ちに誰もがなったと思います。 私は、舞台の上で、今度はゲネプロのときとは違う涙を流す事になりました。 ガスマスクをつけていても、はずしても、息が苦しくなりました。 ほんとうに、息ができない空間になった気がしました。真っ暗闇から、ピンライトが私に向けられたとき、朝日が一筋、私を照らしてくれたように思えて、今日ものぼってくれた太陽に、感謝せずにはいられない。。。目を閉じてその光に身体が癒され、溶けて行くように思えました。 1幕で歌わなければいけないのに、自然の慈しみを感じてどうしたらいいかわからにくらいに、涙で顔がグシュグシュになってしまいました。 ふと前をみると、目の前のお客さん達も、ハンカチで目を押さえていました。 舞台裏の人も泣いていたそうです。テレビの画面から流れる震災の恐ろしい絵と、原発問題の大きな不安が、重なったのだと思います。 **************************************** さて。。。。。。。 未だに世界中で原発計画が進んでいるんですよね? 日本の原発技術を輸出するですって? おかしいです。同僚が言っていた言葉を借りますと、狂気の沙汰ですよ。 経済の勝利のみに傾いているのは、一部の人のはずです。 水も飲めなくなり、食べ物はおろか、地球上に植物さえ育たなくなり。。。。。。。 この演出が、パルジファルとあっているあっていないという批評は今は外においておいて。。。。。。 舞台の上で、そんな将来が遠くない気がしてしまいました。
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